SFの話 2

『つまり、それはオリジナルに『なる』、という事です。』

◇ ◇ ◇

君は昔、『ある人の脳を機械化していくと、どこかの段階で『その人』では無くなるのではないか』、というような事を言いましたね。

確かに言いました。今でもそう考えています。

何故です。

私は、脳の、しかもおそらく一部が人間を究極的に定義すると考えています。

その、『人間を究極的に定義する部分』がどこかはわかりませんが、その部分を機械に置き換えた時点で、『その人』ではなく、人間を材料の一部とした機械になるのではないか、と考えたのです。

尤もらしく聞こえますね。しかし・・・

オリジナルの、つまり生身の脳も、代謝しますよね。

すると思います。

それならば、機械化などを考えなくても・・・

脳は、おそらくその『人間を定義する一部』だって、『その人ではない何か』によって置き換えられ続けている。つまり、『その人ではない何か』によって置き換えられながら、『その人』であり続けている。そうは考えられませんか。

言われてみればそうですね。

そうでないとすれば、人間は同一ではあり続けられないようにできていると、そういう事にすらなりそうです。

同一であり続けられるのだとすれば、『その人』である事を失わず、機械化する事も可能、

そうは考えられませんか。

・・・・・あるいはそうかもしれません。

だんだん、『ある人間であり続ける』という事がどういう事か、わからなくなってきました。

それは案外シンプルなのかもしれません。

つまり、

2006.05.11